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体内時計を利用した治療法

「1日3回」で一律に処方するのがは正しいのか?

薬剤師として処方箋の薬を出す仕事をするときには必ずその薬をいつどのようにして飲むのかを口頭で指示することになっています。
このとき最も多いのが「1日3回食後に」ということですが、案外そう説明をしていてもその通りに飲まない人が多いというのが実情です。

高齢者など慢性的に薬の服用が必要になる人の場合などは特にその傾向が強いのですが、家族が自室に入ってみたところ大量に飲み残した薬が置かれていたというようなこともあったりします。

診療をする医師は薬について出すときに「薬を飲んでいますか?」という質問をするのでしょうが、患者として訪れる人は「飲んでいません」と言って怒られることを気にして正直に言わないこともあるので、結局飲み損ねた薬がどんどん余ったまま置かれていくことになってしまいます。

「1日3回」などの薬の回数は適当に決められているものではなく、きちんと実験や医療の臨床現場により最も結果が出せる方法として使用されているものです。
しかし薬を飲み損ねている人の多くは「うっかり」ではなく「効果を実感できない」からそうしているということもあります。

もし患者さん本人が薬によってそれほど効果を実感できないということならば、その薬の飲み方そのものに何か問題があるのではないかということを疑ってみるべきではないでしょうか。

これからは回数ではなく症状に従った服用を

そうした薬の飲み残しは患者さん本人にとっての健康状態の悪化だけでなく、国の制度としての社会保障を圧迫することにもつながる重大なものです。
健康保険の適用範囲であれば薬の代金も診療報酬として国庫から支出されるわけなので、ほとんど飲まない薬が大量に発生してしまうというのは社会にとって大きな損失です。

最近ではそうした薬の無駄をなくすために、一律に「1日3回」といった決め方をするのではなく「具合が悪くなったときに飲んでください」といったような指導方法に変化をしてきています。
こうした言い方に変わることで、患者さんが仮に薬を飲み残していたとしても次回に同じ薬を処方しなくてもよくなるという大きなメリットになります。

ただしあまりにも患者さんの意志任せにしてしまっては今度は薬を出すという意味そのものがなくなってしまいますので、今度はしっかりどういったタイミングで飲むのがおすすめであるかということを指導していく必要が出てきます。

患者さんの体質や病状にもよりますが、一般的には薬を飲むタイミングとして勧められるのは人の一日のサイクルにおける体温の変化に合わせるものです。

体内時計と人の健康の大きな関係

人の体には必ず「体内時計」というサイクルが存在しています。
よく夜型の生活は体によくないということが言われますが、これはまさに朝起きて夜眠るという本来人が備えている生活時計に大きく異なる生活スタイルになってしまうからです。

人は朝起きたときには体温が低く、それが正午くらいにかけて少しずつ高くなっていきます。
風邪をひいたときなどはよくわかりますが、朝はそれほどでもなかった症状が夕方になっていくにつれてひどくなっていったり、熱が高くなってきたりということがよくあります。

これは午後3時くらいにかけてもっとも体内の動きが活発になり、そこから下降をしていくということが関係しています。
ですので例えば高血圧など血行に関する病気を持つ人なら、上がり切る昼前のうちに薬を飲んでおくようにするということがすすめられます。

またアレルギー体質の人は夜中の時間帯にひどくなるという傾向があるので、寝る前にしっかり薬を飲んでおくようにすることで安眠をしやすくなります。

今後は薬剤師もそうした人の体内サイクルや体の変化に応じていつその薬を飲むのがよいかといったきめ細かい指導をしていく力が求められるでしょう。

Published inコラム