1. /
  2. /
  3. 薬剤師の価値について
考える薬剤師

薬剤師の価値について

薬剤師という仕事の社会的意義

医療関連の資格はどれも長期間の教育課程や難易度の高い国家試験を受けなければいけないという取得の難しいものです。
また国としての医療制度や必要な技術が変化することにより、しばしば試験や教育課程の内容が変わってきたりします。

ここ10年くらいの間に医療制度は大きく様変わりをしており、薬剤師という資格や仕事もその影響を多く受けています。
ある意味医療制度の変更により最も大きな影響を受けたのが薬剤師という資格と言ってもよいくらいです。

薬剤師という資格の大変革があったのは平成18年度からで、それまで国家資格の受験要件であった課程が4年から6年に大幅に延長されました。
当然国家試験も難易度が高いものとなり、新たに薬剤師を目指す人にとってはかなりハードルが高くなってしまったといえます。

その一方で「薬剤師」という仕事が今後長く職業として存続していくことができるのかを疑問視する声も上がっています。
急速にIT化が進んでいるということを受けて、時々「20年後存在しなくなっている職業」といったものが研究機関から発表されることもありますが、その中に薬剤師が含まれていることもあります。

確かに薬剤師の仕事が単に薬を処方箋に従って出すということだけのものなら、IT化やロボット化が進むことにより将来的に不要になってしまう可能性もあります。
しかし実際の薬剤師業務はそれだけではなく、機械的な作業として割り切れない重要な任務を担うものであったりします。

優秀な薬剤師とはどういった人材か

医療関係の書籍の中には「良い医者の選び方」といった種類のものをよく見かけます。
私達は普段病気や怪我をしたときに最寄りの病院施設にかかりますが、このときよくない医師や病院にかかってしまうことで余計に医療費を請求されてしまったり、いつまでも治らない治療を受けてしまう可能性があります。

こうした診療機関や医師の良し悪しは慢性的な疾患を持つ高齢者からの関心が特に高いものなのですが、案外薬剤師ということについてはそれほど厳しく選定をされていないというのが実情のようです。

しかし同じように見える調剤薬局や薬剤師であっても、実際にそこで働く人材によって治療に大きな差が出てくることもよくあり、病気を直していくためには薬剤師選びも重要なポイントになります。

優秀な薬剤師というのは、医師の処方箋を正しく読む力がありそれを間違いなく出すということができる人ではありません。
医療技術というのは年々進化をしており、薬についても同様です。
薬剤師の仕事は資格を取得すればそれで全ての知識が備わるものではなく、その後の臨床経験によって効果や使いかたを経験として得ていくことになっています。

ですので本来的な薬剤師としての業務ではまずその薬の効能についてしっかりと理解をするとともに、実際に訪れる患者さんの様子などからどういった薬の出し方をするのが適切であるかということを判断する力が求められてきます。

どんな薬がどう効くかということはデータベースだけでは測ることができず、その患者さんとの会話や家庭環境の中から複合的に考えていかなければいけません。
なので薬剤師は会話などを通して患者さんのことを知り、時に家族などと連携をとっていくという力が求められてきます。

薬だけでなく生活環境から病気を治す

現代の高度な医療技術が当たり前になっている状況では「よい薬さえ飲めばそれでどんな病気も治る」という思い込みを持ってしまいがちです。
ですが実際には病気は薬だけで治るものではなく、患者さんの精神状態や生活環境が大きく関係をしてきます。

優秀な薬剤師というのは「薬で治す」という先入観にとらわれず、その患者さんが病気を治すために本当は何が必要かということを考えることができる人材ということになります。
これは勉強では備わるものではないため、薬剤師としての仕事を通して身につけていくしかありません。

逆に言えばそうしたことまで配慮ができるようになっていくことにより、将来的に薬剤師としての仕事の価値を大きく高めていくことができると言えます。