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新人教育の難しさ

薬剤師は勉強会がたくさん

薬剤師となるためには、まず大学の薬学部を6年間修了しそれから薬剤師国家試験を受けて免許登録をしなくてはいけません。

資格取得までに非常に時間のかかる大変な仕事なのですが、資格をとってしまえばそれでゴールというわけでもありません。

免許を取得して勤務を開始したばかりの薬剤師というのはまだ全くの白紙と言ってもよい状態であり、そこにそれぞれの臨床経験を積み重ねて数年をかけて一人前の薬剤師を目指していくことになるのです。

就職先となる調剤薬局も一日も早く新人薬剤師が一人前となれるように、定期的に勉強会を開催したり社内規程により昇級試験などを行ったりして人材の質を高めるための工夫をしています。

大手調剤薬局チェーンなどになると、薬学部在学中の学生のうち内定が出た人に対して「内定者研修」として薬剤師試験に合格するための手助けをしたり、実際の薬剤師業務の内容について学習をしたりできるセミナーを開いています。

さらに実際に就職をしてからも「新入社員研修」として定期的にセミナーを開いて、経験不足を補えるような実際の業務についての知識を知る機会を設けています。

薬学の知識だけでは不十分

薬剤師の新人研修で多くの時間を割かれるのは、薬剤の知識そのものよりもむしろ仕事をしていく上で必要となる心構えや倫理についてです。

調剤薬局で薬を出すという仕事においては、医師法、薬事法、医療法などといった複数の法律が深い関わりを持っており、それらを順守していく姿勢が必要になります。

また医療関連の仕事には必ず守秘義務がついてきますので、社会的に影響の大きい立場にあるということを常に自覚していくことも求められます。

在学中からもそうした倫理面や思想面についての教育は行われますが、実際の業務のどういった場面で必要になるかといったことについてはやはり実際の仕事の現場でなければわからない部分も多く、早くからしっかりと自覚をしておくことができるかどうかが薬剤師としての役目を全うするためのポイントになります。

調剤薬局は医療関連施設であるとともに営利を追求する企業でもあることから、利益を出すことだけを優先するのではなくどういった倫理を持って営業をしていくかというバランス感覚が大事になるのです。

自ら考えることができる薬剤師を目指す

薬剤師の新人教育でもう一つ大切になるのが接客に際しての技術です。

調剤薬局を訪れる患者さんの多くは薬剤について詳しい知識がない人ですから、処方する薬について丁寧に使用法を説明をする義務があります。

薬剤師の仕事をするときに最も必要になるのがこの説明のスキルで、専門用語などを使わずわかりやすく患者さんに薬の効果や使用上の注意をしていかないといけないのです。

薬剤師にとって基本的な5技能と言われているのが「解析する」「書く」「聞く」「話す」「尋ねる」であり、これらを総合して患者さんにとって最もよい方法を自ら考える力を養っていきます。

また診療報酬の計算方法についても、ここ数年は国内全般の医療費増大に備えるために改定が頻繁に行われているため、そうした新しい制度に対応できるように定期的に学習会をしていかないといけません。

学ぶことが多岐にわたる薬剤師の仕事においては、新人時代にいかに優れた研修を受けることができるかどうかということがその後の薬剤師人生に大きな影響を与えるものと言っていいでしょう。