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お薬

ミスは絶対に許されないお仕事

薬剤師の医療過誤問題について

何かとニュースで大きく取り上げられることの多い医療関連の不祥事ですが、実は調剤薬局についても頻繁に起こっています。

薬剤師の調剤ミスの中には非常に重篤な健康被害になってしまうものもあり、しばしば医療過誤訴訟として裁判によって争われることになってしまっています。

薬剤師の業務は時に患者さんの命に関わるものにもなるため、ミスは絶対に許されません。

しかし薬剤師も人間ですから、ちょっとした勘違いや記載ミス、判断間違いによりヒューマンエラーによるミスはしばしば起こってしまいます。

なおどのくらいの頻度で起こっているかというと、2004年に厚生労働省が公表した資料によると全国82の特定機能病院における医療過誤事件は約2年の間に15000件とされています。

さらに言うとそのうち387件は死亡や重体にもなる重大なものであったと言いますから、おそらくほとんどの人はこの数字をみて「こんなに発生していたの?」と思うのではないでしょうか。

この数字はあくまでも患者さん側が医療過誤として訴えたもののみをカウントしているため、実際には氷山の一角として裏にはもう何千件もの事故が起こっているのではないかと考えられます。

薬剤師として勤務をするときには、まずこの数字をしっかりと頭に入れていつ誰の身にもミスは起こりえると気持ちを引き締める必要があります。

どのようにしてミスは起こるか

特に重篤な健康被害に至ってしまった人の例を見てみると、まず非常によくあるのが処方箋そのものの記載に間違いがあったという例です。

先に受診した病院で医師が処方箋を作成するときに、「0.05ミリグラム」と記載すべきところを「0.5ミリグラム」としていたり、似たような名称の薬品である「フェルムカプセル」を「フルカムカプセル」と記載したりといったような場合です。

こうした薬剤の医療過誤は1回~2回の服用で直ちに死亡や重体になるということは滅多にないのですが、通常薬剤は1週間や1ヶ月といった長いスパンで出されるため連続をして服用しているうちに次第に状態が悪くなるといった形で判明します。

最悪の場合には服用をしていたところ急に意識がなくなったり心不全を起こしたりといった形で発覚することもあり、誤った処方箋をどのタイミングで発見するかといったことが重大な鍵となってきます。

薬剤師に責任がないわけではない

医師の処方箋が間違っていた場合、その内容に従って薬品を調剤した薬剤師には責任がないかのように思われますが決してそんなことはありません。

薬剤師が6年もの長い歳月をかけて資格取得のための学習をするのは、医師と同等の薬剤についての知識を備えるためにほかなりません。

特に似たような薬品の名称を間違えてそのまま出すというのはごく初歩的なミスであり、処方箋の内容をうのみにして実際にどういった病状のために使用するかを考えずに出していたという職務に対する怠慢が見られます。

薬剤師の仕事はそうした医師の処方に間違いがないかという確認をするセーフティーネットの役割を持つものであるため、常に緊張感を持って出す薬品のチェックにあたっていく必要があります。